著 者 原田ひ香
出版社 小学館
本屋をブラブラしながらタイトルに惹かれて本書を購入しました。早期退職して喫茶店を開店するのですが半年で倒産。その後家族からは見放され、特に妻からは「何にもわかっていない人なんですね。」と憐みと蔑みに似たような言い方をされてしまいます。再就職のあてもない中、それでも唯一の趣味である都内の喫茶店巡りをしながら、おいしいコーヒーとサンドイッチの「食レポ」が記されており、実在のお店(だと思います)の様子が読者に十分伝わります。「喫茶店経営の失敗と無職」といううしろめたさを感じながらも、いつも「いい人」でありたいと振る舞う中高年の悲哀も少し感じてしまう一冊です。